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NHK『欲望の経済史(前編)』レビュー [Essey]

『NHK BSスペシャル 欲望の経済史(前編)』レビュー

 今頃なのですが、たまたまネットで、この番組の存在を知りました。

 なかなか興味深かったので、番組の「気になった部分を引用」しつつも、自分なりの表現でまとめてみました。

 すでに観終わった方向けの思い切り踏み込んだ内容なので、まだ観ていない方はご注意ください。

*あくまで個人的な「まとめ」ですので、番組内では語られていないこと、番組での解釈とは違う場合があります。

*そして、ここに書いたことが、自分と違うからって反論しないでくださいね(笑)
(人それぞれ受け取り方がありますし、何も「同じ考えでなければいけない」わけではないので)

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NHK BSスペシャル『欲望の経済史 — ルールが変わる時(前編)』より
https://www2.nhk.or.jp/archives/chronicle/pg/page010-01-01.cgi?hensCode=000022250356501019577
(なぜか現在、「番組を見ることはできません」となります。
 これはおかしいですね。なんらかの圧力が掛かっているとみるのが自然な気がします。)


『今、世界で、格差が拡大し、分断が進む。
 その原因は何か?

 それをもたらしたルールはただ1つ、「利子」という「時間と金銭とを交換する」蛮行である。

 この「時が富を生む魔術=利子」は、一体誰が思いついたのか。

 もともとキリスト教では、「利子を取る」ことは禁止されていた。

 キリスト教だけでなく、仏教、ヒンズー教、イスラム教でも、世界のあらゆる宗教が「利子」を禁止している。

 なぜなら、あらゆる問題を引き起こす「元凶」だからだ。

 ところが、世界でただ1つ、利子を肯定した宗教がある。それがユダヤ教だ。

 ユダヤ教の経典には、

「異邦人には利子をつけて、貸し付けて良い。

 ただし、あなたの兄弟に貸す時には、利子を取ってはならない。(申命記)」

とある。

 世界の宗教の中で、ユダヤ教だけは、仲間と他者を「明らかに選別」し、利子を取ることを肯定した。

 そのため、世界で唯一、ユダヤ人だけが「高利貸し」を行い、職業化していった。

 シェイクスピアの「ベニスの商人」は、「ユダヤ人のシャイロックが商人に金銭を貸し、利子として、腹の肉1ポンドを要求する」というストーリーによって「債務によって、命を落とす」危険性を表現した。

 シェイクスピアは、利子の恐ろしさ、債務は身を滅ぼすこと、債務によって命を落とすこともあることを、こうして警告した。

 こうした「利子への忌諱」をかいくぐったのが、イタリアのメディチ家である。

 フィレンツェのメディチ家は、金融業だけでなく、毛織物やシルクの工房も経営し、貸倒れリスクをヘッジする抜け目なさだった。

 メディチ家の第2代 コジモ・デ・メディチは、ロンドン、ジュネーブなどに支店を開設し、ヨーロッパ全域をネットワークする金融網を築き上げる。

 こうして、世界で初めて「為替レートの違い」を利用し、ロンドンの安いレートで資金を調達し、高いレートのローマで貸し付けるといった方法で、巨万の富を築いていった。

 そのような巨万の富に対して、世間・社会からの不満・怒りが高まると、それらをそらすため、芸術に莫大な資金を投じ始める。

 それは1つの「社会への還元」効果として、フィレンツェを発祥とした、ヨーロッパ全域にわたる文化運動=ルネサンスへと花開いていく。

 16世紀の宗教改革の主導者ジャン・カルヴァンは、「カトリック教は利子を禁じたが、すべては偽善だった。」と主張した。

 カルヴァンは、

「これまでカトリック教徒も、何らかの方法で“利子にあたるもの”を取っていたし、そのような偽善はもう止め、利子を認めるべきだ。」

とした。

 さらに1745年、ローマ教皇ベネディクト14世によって、「時間には価格がある」という考えが示され、それまでのルールが書き換えられた。

 これらを契機に、こうした考えが社会全体に拡がり始め、利子が認められるようになっていった。

 それは重商主義、戦争(戦費の貸し付け)、グローバリズムと国家の関係、株式市場を生み出す起源ともなった。

◆文化人類学者 デヴィッド・グレーバー

「貨幣の真の目的は、“借用書”であり、貨幣を持つことは、国家の債務を負うことと等しい。

 ある日突然、暴力的な回収を受ける可能性があるのが貨幣だ。

 その起源は、犯罪と賠償、戦争と奴隷制、名誉、負債、救済の中に見い出せる。」

 これが実は「経済の本質」である。

 「時間が経過する」だけで、「利子」という「富」を生み出す。

 この「利子」という「禁断の果実」によって「貸し付ける者」に対してだけ、「時間」そのものが「富」を生み出していく。

 永遠に続く「時間」という「富」が、「利子」という「富」を、永遠に生み出し続ける。

 今や、世界でトップ8人の資産が、人類全人口の下位半分(36億人分)と同じになった。』
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 この番組を観て、「なぜ、ユダヤ人が “国際金融支配体制” を築けたのか」がよくわかり(納得でき)ました(笑)

 世界で唯一の例外「ユダヤ教の特殊な教え」があったからこそ、「ユダヤ人」だけが「先行者利益」を独占し、いち早く体制を構築できたのだと。

 貸した瞬間から「単に時間が経過する」だけで、「利子」という「富」を生み出す「禁断のしくみ」を、最大限活用したからこそ、世界を支配する体制まで築けたのだと。

 「時間こそが富」なのだと。

 そういう意味では、ユダヤ人だけではなく、自分たちにとっても「自分が自由に使える時間」こそが、最大の「富」なのでしょうね。

 その貴重な「自分の時間」を切り売りしている場合ではないですね。

 ましてや「時間つぶし(暇つぶし)」なんて、最大の「愚行」ということですね(笑)

 自分たちも「時間=富」を意識して、生活していきたいものです。

 以上で、「前編」のレビューは終わりです。

※ 追って、『欲望の経済史 — ルールが変わる時(後編)』に続きます。


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