SSブログ

「サピエンスとパンデミック」番組視聴後レビュー [Essey]

ETV特集「サピエンスとパンデミック 〜 ユヴァル・ノア・ハラリ特別授業」レビュー

 世界的ベストセラー(全世界1600万部以上)「サピエンス全史」の筆者である、ユヴァル・ノア・ハラリ博士(イスラエル人歴史学者)による講義を視聴し、自分が感じたこと・考えたことのレビューです。

 よって、番組内容やハラリ博士の考えをまとめた記事ではありません。
 もちろん、基本的にハラリ博士の指摘・意見に賛同ですし、大いなるインスパイアを受けていますが、完全に一致するものではありません。

 あくまで、この番組によって引き出された自分の意見・考えであり、番組内ではまったく語られていない内容も含みます。

<公式サイト:番組紹介ページ>
https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/6J725J6328/
*初回放送は、結構前だったようです。アンコール放送で視聴しました。
---------

1.認知革命
 人間だけが大人数で協力し、大きな仕事を成し遂げる能力を持つことができるようになった。

 お金が貨幣として機能するのは、人々の共通認識が前提にあるからであり、もし「こんなものと、自分の商品は交換しない」という人が多数派を占めれば、その貨幣の価値は崩壊する。

 例えば、デフォルト(債務不履行)して、ハイパーインフレとなり、その国の貨幣価値が消失した国では、誰も自国の貨幣で取引をしなくなる。

 驚くべきことに、アメリカを敵視し、ジハードを叫ぶイスラムの人々、さらにはテロまで起こす組織でさえ、取引には(自国通貨ではなく)ドルを使っている。

 この事象に誰も疑問を持たない。これは本当に驚くべきことだ。

◆ 宗教とは単なるフィクションである
 まず考えて欲しいのは、「信心深い」とされる人々でさえ、自分たちが信仰する宗教以外はすべて否定しているという事実だ。

 キリスト教を信じる人はイスラム教を否定し、イスラム教を信じる人は仏教を否定し、仏教を信じる人はユダヤ教を否定する。
 自分以外の宗教は嘘だ、フィクションだ、そんなものを信じるなと。

 つまり、これは結局、全員がまわりまわって、すべての宗教を否定していることに相違ないのに、多くの人がこの矛盾に気づいていない。

 何より大切なことは、「全知全能の神」のストーリーが、「不完全な存在」である「人間によって作られた」ものなんだと理解することだ。

 人間は、どんなにがんばっても、完全に「神」を理解することなどできない。
 人間は「神」ではないし、「神」にもなれないのだから。
 良く考えてみれば「そんなの当たり前」ということに気づくだろう。

 世界三大宗教と言われるものであれば、2000年以上前にその時の聖職者が作り出したストーリーであって、「絶対的な真実」などではない。

 そもそも、人間という限られた知能の動物が「全知全能の神」を理解することができ、それを「こうだ」と語ろうとしている時点でおこがましいということに気づいて欲しい。

 例えば、「神」が「人間と同じ見た目」をしているというストーリーを語っている時点で、とても「低レベル」なフィクションであることがわかる。

 まさか「神」が、人間の形をしているはずなどないのだ。
 しかし驚くべきことに、これを多くの人が信じてしまう。

 こんな「人間の勝手な解釈」で作り出した「神のストーリー = フィクション」を信じて、殺し合いまでしている。実に馬鹿げたことだ。

 21世紀にもなる今日、いい加減にこのことに、全人類が気づいて欲しい。

2.農業革命
 12000年前の農業革命によって、人類社会に初めて「支配層」と「搾取層」が生み出された。

 狩猟時代であれば、食糧のために動物を狩ることはあっても、それらを「支配する」という概念などなかった。

 サバンナでシマウマを狩っていても、狩り尽くせば、また別の土地に移動するしかない。

 そこへ「農業」という革命が起きると、動物用の柵を作り、その中で繁殖させ、それらを「食用とする = 支配する」という概念が生まれた。

 動物を檻の中に閉じ込め、餌を与え、その家畜を「自分が所有する」という感覚が生まれた。これは「自分のもの」だと。

 すると、牛や鶏といった家畜を「所有する」できるのだから、人間だって所有できるという概念が生まれ、奴隷制度が始まった。

 さらに、王は市民を支配し、市民は奴隷を支配し、男は女を支配し、女は自分のペットを支配するという時代が始まった。

 こうして人類社会は、人々を「支配する層」と「支配される層 = 搾取層」の2分化された。

 これを正当化するために、ありとあらゆる嘘のストーリー、でっち上げが作られた。

 しかし科学的には、王は市民と何も変わらないし、市民が奴隷よりも優れているわけでもない。

 さらには、人間のある集団が、ほかの集団より優れているとか、「民族で優劣を競う」といった馬鹿げたことが発明され、「集団ごと支配する = 植民地化して支配する」といった蛮行まで始まった。

(1) 人種差別とは自虐行為
 人種差別というのは、それを行う人間を愚かにする行為である。

 自分が所属する人種が優秀だと錯誤し、ほかの人種を否定し、それらの人々が持つ「知恵や文化」から学ぼうとしないのは、自分たちの人種を弱体化させ、愚かにさせる自虐的行為にほかならない。

 歴史学的な「人類の発祥」を考えれば、アフリカで最初の人類が誕生した祖先は「1つ」であり、その後ヨーロッパに進出した人々がその土地に順応し、肌の色素が薄く、白くなっていったに過ぎない。

 どんな動植物も、遺伝子の進化の過程で、さまざまに変化していく。
 蝶々に、あんなにもバラエティに富んだ模様の種類が存在するのも、カメレオンのようの1個体が肌の色を変化できる能力を身につけられたのも、長い年月の遺伝子の進化によるものだ。

 生物学的な「生き残り」戦略によって、より各地の環境に適用 =「環境適応」していったに過ぎない。白人も黒人もないのだ。
 もともと全人類は同一であり、そもそも人種も民族も存在しない。
 それらはすべて「作られたフィクション」に過ぎない。

 それどころか、生物学的見地で言えば、我々人類は「純粋なホモ・サピエンス」ですらない。
 遺伝子レベルで解析すれば、東洋人にも「ネアンデルタール人」の遺伝子が見つけられる。

 それは、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人などのほかの種族との交配した子孫であることを示している。
 つまり、人種とか民族とかいった概念そのものが、まったく意味のない、馬鹿げたものである。

(2) 税金の本質
 農業革命によって「支配層」と「搾取層」に2分化された人類社会は現在、「税」によって「人々を支配する層」と「搾取される層」に分けられた。

 税金を払っている人はすべて「搾取層」であり、「支配層」は一切「税金」など払っていない。

 逆に「税金」の中から、自分たちの「給与」を(自分たちの言い値で)取得・搾取している。

 例えば「年間2千万円欲しい」と思えば、自分たちで「3千万円」という「給与」を設定し、その中から「1千万円」を戻して、自分たちも「納税している」と主張すれば良いだけだ。
 それは単なる「内訳の操作」に過ぎず、何も支払ってなどいない。

 そして、お金が足りなくなれば「税率」をアップして、重税をかけて「搾取量」を増やせばいいのだ。支配しているのだから。

 先日、世界中の支配者層(各国元首など)がタックスヘイヴンに口座を持ち、脱税していることも暴かれた。

3.科学革命
 ホモ・サピエンスは、むこう100年から200年の間で「消滅する」と考えている。

 それは「人類が絶滅する」ということではなく、別の種に「進化する」という意味だ。

 ホモ・サピエンスは、新たな科学技術によって「自らをアップグレードする」と予想している。

 人類はすでに「遺伝子操作」によって、「遺伝子組換」食品を作り出しているし、中国で行われた「遺伝子操作ベビー」の誕生も賛否両論を引き起こした。

 そのため、多くの先進国で「人間に対する遺伝子操作」を禁止する法律が作られたが、今後「地球温暖化」などの環境変化が激化すれば、そうも言ってられないのではないか。

 人類は「気候変動」に環境適応するため、「生き残り戦略」として遺伝子操作を行うかもしれない。

 あるいは、新型コロナの危機によって「肉体を持つ」ことが人類が滅亡しかねないリスクだと突きつけられたので、次なる「生き残り戦略」として「肉体」そのものを捨てる選択をするかもしれない。

 自分たちの「知能・頭脳」をシリコンチップに移し、生物学的な「肉体」を捨ててしまえば、ウイルスも気候変動も脅威ではなくなる。

 食糧問題も消滅するし、人類がどれだけ増えようとも、物理的な「土地問題」も消失する。

 生物学的な「肉体を捨てる」ことが、人類にとって圧倒的に有利になる「生き残り戦略」となるだろう。

 こうして「ホモ・サピエンスは消滅する」のだ。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。