NHK『新型コロナ AIによる全論文解読』レビュー [Essey]
『NHKスペシャル「新型コロナ AIによる全論文解読」レビュー
新型コロナに関する全世界20万の論文を AI に読み込ませて、解読させました。
20万もの論文を読んだ人類は、世界のどこにも存在しません。
AI で各論文の相関関係を解析し、より多く読まれ、引用されている論文の評価点を高くし、評価の低い論文のランキングを下げるようにしました。
加えて、エビデンス(実験・調査などの証拠)がしっかりしている論文の評価点を高くし、より信憑性の高い有益な情報と位置づけました。
これらの詳細な解析により、次の重要なポイントが浮かび上がったのです。
1.交差免疫
ヒトは、あるウイルスに感染すると、免疫細胞 によって抗体が作られます。
この抗体を作り出す免疫細胞の効果は、一定期間保たれます。
この免疫システムを利用するのが予防接種であり、ワクチンです。
この時「類似のウイルス」が侵入した際にも、ある程度の効果は発揮でき、専用の抗体ではなくても、類似ウイルスの活動を阻害するのに役立ちます。
これを「交差免疫」と言い、例えばインフルエンザの予防接種でも、別の「型」が流行したとしても、予防接種をしてないよりは重症化を防げるというのはこのためです。
新型コロナウイルスは7種目のコロナウイルスであり、これまで人に感染するコロナウイルスには、「季節性コロナ(4種)」「SARS」「MERS」の6種があります。
このうち、普通の風邪を引き起こす「季節性コロナ」は、日本を含めた東アジア地域で繰り返し流行しているため、東アジア人の多くがこの交差免疫を持っています。
東京大学医学部附属病院検査部の調査によると、日本人の75%がコロナに対する交差免疫を持つことがわかりました。
新型コロナ患者のうち、過去5年間に「季節性コロナ」に感染歴があるかどうかとの相関関係を調べたところ、
A.感染なし → 3割が重症化
B.感染あり → 重症化は5%のみ
となりました。
つまり、欧米や南米で重症化・死亡者が多く、東アジアで重症化・死亡者が少ないのは、この「交差免疫」の有無が大きく関係していたのです。
2.微量感染
日本を始めとする「マスク着用」が徹底している国では、感染者と出会った際に、マスク越しに「微量に感染する」ことになります。
新型コロナウイルスが、ごく微量に体内に侵入することで、発病まではせずに、体内の免疫システムで処理することができ、新型コロナウイルスに対抗できる「新たな抗体」が作られます。
これは「無症状感染者」であり、新型コロナの予防接種を「微量に注射した」のに近い状態とも言えます。
ただし、これではワクチンとしては「不十分な量」であるため、相変わらず感染リスクは残りますが、日々の活動の中で「マスク越しに微量に感染する」ことを繰り返していくと、体内の抗体量が十分な量に達し、新型コロナに対する「免疫力」を持てるようになるのです。
つまり、「マスクをする」というのは、微量感染 によって「免疫を獲得するのにも役立つ」のです。
欧米などでひどい状態になっているのは、(地域特性として)交差免疫を持たず、マスク着用も徹底されていないからであり、むしろ当然の結果として表れているのです。
3.抗体治療
新型コロナに感染し、重症化し、回復した人の体内には、大量の「新型コロナ抗体」が存在します。
よって、回復者から献血してもらい、血液内から「新型コロナ抗体」を抽出して、まだ「抗体を持たない感染者・重傷者」に注射して治療するのが「抗体治療」です。
アメリカでは、この抗体治療の承認申請も最終段階に入っていて、トランプ前大統領が短期間に回復できたのも抗体治療のおかげです。
4.波長222nmの紫外線
紫外線はこれまで、病院でのスリッパ殺菌など、殺菌作用のある光線として利用されてきました。
ただし、通常の波長の紫外線は人体には有害とされ、シミや皮膚癌の原因ともされます。
そこで、紫外線の波長をさまざまに変えて調べたところ、222nm(ナノメートル)の波長であれば、人体には無害の上、新型コロナウイルスには有効なことがわかったのです。
実験によると、222nmの紫外線をたった10秒照射するだけで、約9割の新型コロナウイルスを無害化できることがわかりました。
そこで日本で、世界初の「222nm紫外線照射器」が開発され、すでに石川県加賀市医療センターでは病院の待合室に30台など、多数の設置が進められています。
4.低濃度オゾンガス
藤田医科大学の研究チームによって、低濃度のオゾンガスが新型コロナウイルスの無害化に有効なことが発見されました。
そこで「低濃度オゾンガス 発生装置」が開発され、すでにタクシーなどへの設置が始まっています。
最後に
新型コロナウイルスの登場から約1年が経過し、全世界で研究・調査が進み、新たな知見・技術・対策が見出されてきました。
おそらく新型コロナウイルスもいずれ、インフルエンザ並みの病気という位置づけになっていくのではないかと思われます。
恐れ過ぎず、侮ることなく、適切に対処していきたいものです。』