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新型コロナウイルスまとめ [Essey]

 新型コロナウイルスが全世界を震撼させる事態となり、すべての人が直接的に影響を受ける状況となっていますので、自分なりのまとめをしてみました。

 亡くなられた方々、闘病に苦しんでおられる方々には、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

1.新型コロナウイルスについて

 新型コロナウイルス はその名のとおり、コロナウイルスの1種で、これまで人に感染するコロナウイルスは、7種類見つかっています。

 コロナウイルスとは、エンベロープ(ウイルス表面の脂質性の膜)上にコロナ(王冠)のような「タンパク質の突起を持つ」ことが特徴とされ、これが名前の由来にもなっています。

 ウイルスにはエンベロープを持つものと持たないものがあり、コロナウイルスを含めた「エンベロープを持つ」ウイルスは、アルコールで失活するという特徴と、変異を起こしやすいという特徴があります。

 そのため、アルコール消毒が有効とされているわけです。

 またコロナウイルスは、動物界のウイルスがヒトに感染して、重大な被害を与えるという特徴もあります。

 コロナウイルスのうちの4種は、一般的な「風邪」の原因の10%から15%(流行期は35%)を占めており、ほとんどの場合は軽症に終わります。

 残りの2種類は、2002年に発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)と2012年以降発生しているMERS(中東呼吸器症候群)です。

 そして7番目に発見されたのが、今回の「新型」コロナウイルスであり、学術的には2019年に発見されたことから「2019-nCoV」や、SARSとの類似性から「SARS-CoV-2」と呼ばれていました。

 そして2020年2月11日、世界保健機関(WHO)が正式に疾患名「COVID-19(コビッド・ナインティーン)」というする命名が発表されました。

 つまり今回のウイルスは「新型」ではあるものの、人類がこれまで遭遇したことがないようなまったく「未知」のウイルスということではありません。

 この点は非常に重要で、これまでの「既知のウイルス」の「新型」なのであれば、対処方法を考える糸口があるということです。

 これまでも人類は、ウイルスによる感染症を数多く克服してきました。

 研究を積み重ねていく中で「ウイルスのしくみ」を把握し、それに応じた治療薬を開発してきた歴史があります。

2.ウイルスの基本的なしくみとは

 ウイルスは、単独では増殖できないため、感染した細胞(宿主)の中に入り込み、自らの設計図とも言うべき核酸(DNAもしくはRNA)を複製して増殖していきます。

 ウイルスは「ゲノム」として、DNAかRNAどちらか一方の核酸を持ち、ウイルスの複製に必要な「遺伝情報」がゲノムにコードされています。

 つまり、デオキシリボ核酸(DNA)を持つ「DNAウイルス」と、リボ核酸(RNA)をゲノムとする「RNAウイルス」に大別され、新型コロナウイルスはRNAウイルスとなります。

(1) DNAウイルス(DNAしか持たないウイルス)
 増殖の際に一度、RNAに変換してからタンパク質を作ります。

(2) RNAウイルス(RNAしか持たないウイルス)
 RNAが遺伝子の役目を兼務しつつ、タンパク質を作って増殖します。

 DNAウイルスは、細胞のDNA合成に関わる酵素を利用してゲノムを複製するため、ボックスウイルスのような自分自身のDNA合成酵素を持つもの以外は「核」の中で増殖します。

 そのため、治療薬の対策としては、遺伝子の「転写開始前」の制御により行われます。

 RNA合成酵素は、ウイルスRNAを鋳型として細胞質で作られて機能します。

 したがって、RNAウイルスにおいては、原則として「細胞質」で増殖することになります。

3.RNAウイルス治療薬のしくみ

 RNAウイルスには、インフルエンザウイルス、エイズウイルス、エボラウイルスなどがあります。

DNAは「二重らせん構造」をしていて、二重らせんの梯子をくっつけているタンパク質が、A(アデニン)、T(チミン)、G(シトシン)、C(グアニン)の4つです。

 現在、もっとも治療薬として期待されている「アビガン(ファビピラビル)」は、かなりシンプルな構造をしていて、実は、G(シトシン)、C(グアニン)の構造に似せています。

 そのため、増殖しようとするウイルスが「アビガン」を遺伝子的に必要な成分と勘違いし、間違えて取り込んでしまうのです。

 当然「アビガン」は、G(シトシン)でもC(グアニン)でもないので、アビガンを体内に取り込んでしまったウイルスは「複製」ができずに、細胞分裂も行えないため、増えることができずに消滅してしまうのです。

 これが「アビガン」が治療薬として機能するしくみです。

 したがって、もともとは「新型インフルエンザ治療薬として開発されていた」ということでもあり、エイズウイルスやエボラウイルスなどにも効果があるとされるわけです。

 ほかに治療薬として期待されているものに、抗エイズウイルス薬の「カレトラ」、エボラ出血熱の治療薬「レムデシビル」などがあります。

4.アビガンについて

 アビガンを創薬したのは、富山化学工業株式会社です。

 富山化学工業(株)は、日本国内の数多くある医薬品メーカーの中でも抗生剤を作り出すのが得意な医薬品メーカーです。

 その歴史は古く、1936年に創業された老舗の医薬品メーカーであり、2002年には大正製薬とも業務提携を行っています。

 その後、2018年に 富士フイルムRIファーマ(株)と富山化学工業(株)が合併し、富士フイルムグループ傘下となりました。

 抗生剤は開発が難しいわりに、利益が取りづらいということで開発を止めた製薬会社も多いそうです。

 それでも根気よく、抗生剤・抗ウイルス剤を創薬してきた富山化学工業が、全世界・全人類を救うことになるのかもしれません。

 日本企業の研究・開発の底力を改めて感じさせる話と思います。

5.アビガンの副作用について

 「薬」ですので、もちろんアビガンにも副作用があります。

 それは、人体の細胞も「アビガン」を遺伝子的に必要な成分と勘違いして取り込んでしまうことにあります。

 人体の細胞がアビガンを取り込んでしまうと、特に精子や卵子に異常が発生する可能性があり、奇形児が生まれてくる可能性が高まります。

 したがってアビガンは、「妊婦」や「妊娠の可能性のある方」には処方できないとしています。

 同様に、男性側にも「妊娠をさせる可能性のある方」には処方できないことになります。

 とはいえ、処方するほどの「病状」にある男性が、そのような行為をできるとは考えにくいということになります。

 なお、化学製品などを手掛けるデンカ株式会社 は、政府からの要請を受けて「アビガン」の原料を新潟県糸魚川市の工場で生産すると発表しました。

 アビガンの原料は、デンカ(株)が国内唯一の生産メーカーでしたが、現在は生産を取りやめていたものの、来月から設備を再稼働するとのことです。

 デンカ(株)は「新型コロナウイルスへの対策を社会的責務と捉え、確実な供給を図る」としています。

 日本企業の底力が、全世界・全人類を救ってくれることを祈るばかりです。

<参考としたWebサイト>
東京大学医科学研究所、東京大学医学部附属病院臨床研究推進センター、秋田大学大学院医学系研究科・医学部サイト、富山化学工業(株)、デンカ(株)、各種報道機関サイト

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